eラーニングの受講率が上がらない本当の理由——モチベーション対策では解決しない

導入したのに、誰も受講しない。

eラーニングを導入した人事・研修担当者から、最もよく聞く悩みのひとつです。

そして多くの企業が次に取る行動が、こうです。

「どうすれば受講率が上がるか」を調べ始める。

ゲーミフィケーション、バッジ、ランキング、リマインドメール。さまざまな「モチベーションを上げる施策」を試してみる。

しかし、受講率はほとんど変わりません。

なぜか。

問題の根っこが、モチベーションではないからです。


「なぜ学ぶのか」が自分ごとになっていない

社員がeラーニングを受講しない理由を、担当者は「やる気がないから」と捉えがちです。

しかし、社員側の本音は少し違います。

「なぜこれを学ばないといけないのか、わからない」

「自分の仕事と、この内容がどうつながるのか見えない」

「とりあえず流しておけばいい」

これはモチベーションの問題ではありません。設計の問題です。

受講者が「なぜ学ぶのか」を自分ごととして捉えられていない。それが受講率低下の本質です。

モチベーションは原因ではなく、結果です。設計が変われば、モチベーションは後からついてきます。


小手先のテクニックが効かない理由

ゲーミフィケーションやバッジが完全に無意味だとは言いません。

ただ、本質的な問題を解決しないまま小手先を重ねても、効果は出ません。

それどころか、「ゲームみたいに楽しくしたのに受講しない」という、さらなる混乱を生むことがあります。

受講率を上げたいなら、テクニックの前に問うべきことがあります。

「その学習コンテンツは、受講者にとって意味があるものになっているか」

ここを変えずに、外側だけ変えても何も変わりません。


「自己調整学習者」という考え方

教育工学に「自己調整学習者(Self-Regulated Learner)」という概念があります。

自分で学習目標を設定し、進捗を管理し、必要なリソースを探して学び続けることができる学習者のことです。

eラーニングが本当に機能している状態とは、受講者がこの自己調整学習者として動いている状態です。

しかし、最初からそうなれる人はほとんどいません。

「自分で学んでください」と言うだけでは何も起きません。自己調整学習者は、育てるものです。


欧米で使われている「学習契約」という手法

eラーニングが普及している欧米では、「学習契約(Learning Contract)」という手法が広く取られています。

受講を開始する前に、受講者自身に学習目標を設定させます。

「この講座を通じて何を学びたいのか」「学んだことを業務でどう活かすのか」を言語化し、提供側と受講者の間で合意を形成します。

この「契約」があることで、受講者は学習に当事者意識を持ちます。目標が自分の言葉で書かれているため、「やらされている感」が大きく薄れます。

日本ではまだ馴染みが薄い手法ですが、受講率・学習効果の両面から見て、非常に合理的なアプローチです。


eラーニングには「滑走路」が必要です

eラーニングの導入を、飛行機の離陸に例えてみます。

ヘリコプターなら垂直に上がれますが、旅客機は違います。十分な速度を得るために、滑走路をしっかり走るプロセスが必要です。

eラーニングも同じです。

導入した瞬間から受講者が自律的に動き始めるなどということは、現実にはあり得ません。

最初は丁寧に手を引き、学習のリズムと目的意識を作っていく必要があります。教育工学ではこれを「足場かけ(スキャフォールディング)」と呼びます。

自立した学習者を育てるために、最初の段階でしっかりとしたサポートを提供することが不可欠なのです。


「eメンター」という存在

この足場かけの役割を担うのが、「eメンター」です。

eメンターとは、受講者の学習進捗を確認し、疑問や迷いに対応し、学習の方向性を一緒に考える伴走者です。対面研修における講師やファシリテーターと同様の役割を、オンライン上で担います。

eラーニングは「システムを入れれば自動で回る」ものではありません。

受講者が自己調整学習者へと育っていくプロセスを、人が支援する必要があります。このサポート体制なしにeラーニングを導入しても、受講率が上がらないのは当然の結果です。


はっきり言います。

「導入すれば受講してもらえる」は幻想です。

eラーニングを導入しただけで、社員が自発的に学び始めるなどということはあり得ません。

受講者を自己調整学習者へと導いていくことが、eラーニングを導入した人事・研修担当者の本来の責任です。

モチベーション対策をやめ、学習者が自律的に動き出せる設計と仕組みを作ること。これがeラーニングの本質です。


FAST LINKは、eラーニングの内製化を支援します

FAST LINKでは、受講率を「上げる」ためのテクニックではなく、受講者が自律的に学べる仕組みそのものを構築する支援を行っています。

教育工学に基づいた学習設計・eメンター体制の構築・内製化支援まで、一貫してサポートします。

まず、無料相談からお気軽にどうぞ。貴社のeラーニングの現状をヒアリングし、本質的な課題をお伝えします。

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