eラーニング教材の作り方|生成AI時代は「作る」前に「設計」が成果を分ける

eラーニングの教材づくりで、手が止まっていませんか?

動画を撮影し、スライドを作り、テストを用意する。

考えただけで気が重くなる人事・研修担当者の方は、多いと思います。

結論からお伝えします。

eラーニングの教材は、一から新しく作る必要はありません。

そして、教材そのものよりも、はるかに重要なことがあります。

それは、その教材を使って、受講者にどんな学習経験をしてもらうのかという「設計」です。

この記事では、生成AIの時代におけるeラーニング教材の作り方を、設計の視点から解説します。

eラーニング教材の素材はすでに社内にある

eラーニングを始めるとき、多くの企業が「教材をゼロから作らなければ」と考えます。

しかし、素材はすでに社内にあることがほとんどです。

現場で実際に使われている業務マニュアル。
過去に起きたクレームやトラブルの記録。
うまくいった提案と、失敗した提案の振り返り。
先輩社員が積み重ねてきた、仕事のコツ。

これらは、どんな市販パッケージにも載っていない、自社だけの教材素材です。

しかも受講者にとっては「自分の仕事の話」なので、当事者意識を持って学習に向き合えます。

すでにあるものを活かさず、一から作り直すことは、いわゆる「車輪の再発明」です。

時間とコストがかかるうえに、現場の実態とずれた教材になってしまうリスクもあります。

生成AIを使えばeラーニング教材は自社で作れる

今は生成AIの時代です。

正確な情報源(ソース)さえあれば、教材の制作は自社で十分に行えます。

マニュアルをもとに、スライドを作る。

過去の事例を整理して、ケース教材にまとめる。

文章を読みやすく整え、確認問題を作る。

以前は何週間もかかっていた作業が、数時間で形になる場面も増えました。

教材を作るハードルは、確実に下がっています。

ただし、ここには大切な前提があります。

生成AIが頼りにするのは、あくまで「正確なソースやナレッジ」です。

社内にある正しい情報こそが、いちばんの元手になります。

だからこそ、既存のマニュアルや事例を活用することに大きな意味があるのです。

生成AI時代でも、AIに任せられない4つのこと

教材はAIで作れるようになりました。

では、AIにはできないことは何でしょうか。

それは、次の4つだと考えています。

その教材を使って、何をさせたいのか。
受講者に、何を目標にしてもらいたいのか。
どのような教育設計にするのか。
どのような学習経験をしてもらうのか。

これらは、教材の「中身」ではなく、教材の「使い方」の話です。

そして、学習の成果を決めるのは、中身よりも使い方のほうです。

AIは、与えられた素材から教材を作ることが得意です。

しかし、その会社の社員に何ができるようになってほしいのか、そのためにどんな経験を積ませるのかという判断は、教育の目的を理解している人間にしかできません。

同じ教材でも、設計しだいで学習経験は大きく変わる

具体例で考えてみます。

社内に「クレーム対応マニュアル」があるとします。

ひとつ目の使い方は、マニュアルをPDFで配布し、「読んでおいてください」と伝える方法です。

受講者はさっと目を通し、確認テストに答えて終わります。

「読んだ」という事実は残りますが、実際にクレームが来たときに動けるようになったかどうかは、誰にもわかりません。

ふたつ目の使い方は、こうです。

最初に、お客様からの怒りのメールを提示します。

そして「この状況で、あなたならどう返信しますか」と問いかけます。

受講者は、返信を考えるために、自分からマニュアルを開いて必要な箇所を探します。

書いた返信には、フィードバックが返ってきます。

使っている素材は、まったく同じマニュアルです。

それなのに、受講者の学習経験はまったく違うものになります。

前者は、マニュアルを「読む」経験です。

後者は、マニュアルを「使って、仕事を経験する」学習です。

学習の質を決めているのは、教材の出来栄えではなく、設計なのです。

eラーニング教材づくりは「順番」を変える

教材づくりに迷ったら、順番を変えてみてください。

多くの場合、最初に「どんな教材を作るか」を考え始めます。

しかし、本来の順番は逆です。

① 受講者に、どんな行動ができるようになってほしいのかを決める。

② そのために、どんな学習経験が必要かを設計する。

③ その経験に使える素材を、社内から探す。

④ 足りない部分だけ、生成AIの力も借りながら教材にする。

教材を作るのは、いちばん最後で構いません。

先にゴールと学習経験を設計しておけば、作るべき教材は自然と絞られます。

結果として、制作量は減り、現場にも合った学習になります。

設計の部分は、教育設計のプロに任せる

とはいえ、学習経験の設計は簡単ではありません。

どんな課題を、どんな順序で提示するのか。

どこでフィードバックを返し、行き詰まったときに誰がどう支援するのか。

ここには、教育工学やインストラクショナルデザインの専門知識が必要です。

設計の部分は、教育設計のプロに任せる

とはいえ、学習経験の設計は簡単ではありません。

どんな課題を、どんな順序で提示するのか。

どこでフィードバックを返し、行き詰まったときに誰がどう支援するのか。

ここには、教育工学やインストラクショナルデザインの専門知識が必要です。

FAST LINKでは、社内にある既存の素材を活かしながら、学習経験の設計から一緒に取り組む「内製化支援」を行っています。

自社の業務をいちばんよく知っているのは、企業のみなさまです。

「何を教えるか」は企業が、「どう学ばせるか」はFAST LINKが担当し、ともにつくり上げていきます。

まとめ

eラーニングの教材づくりに迷ったら、新しく作ろうとする前に、社内を見渡してみてください。

マニュアルにも、事例にも、先輩のノウハウにも、教材の素材はすでにあります。

生成AIの時代、正確なソースがあれば、教材は自社で作れます。

だからこそ、差がつくのは教材そのものではありません。

何をさせたいのか。
何を目標にするのか。
どんな教育設計にするのか。
どんな学習経験をしてもらうのか。

この部分は、AIには任せられません。

教材は、作るものではなく、設計の中で使うものです。

自社の教材づくりを、設計から見直したい。

そう感じた方は、お気軽にご相談ください。