eラーニングと聞くと「動画を見てテストを受けるだけ」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、これは誤解です。実際には、学習者の特性に合わせたマルチメディア活用こそが、効果的なeラーニング設計の鍵です。
今回は、弊社が教育工学に基づいて設計・構築しているeラーニングのポイントを解説します。
eラーニングに「動画一辺倒」が危険な理由
動画が続くだけでは学習意欲が低下する
動画はわかりやすく、多くの情報を短時間で伝えられる優れた教材です。しかし、動画が延々と続く構成は、学習者のモチベーション低下を招く要因になります。特に、長時間の視聴や単調な内容は「受け身学習」を助長し、学習成果に直結しにくくなります。
学習者の特性に合わないと学習効果が落ちる
教育工学では、人によって効果的な学習スタイルが異なることが知られています。たとえば「VAKTモデル」では、
- V(Visual):視覚型…図解やテキストで理解しやすい
- A(Auditory):聴覚型…音声や講義を聞くことで理解が深まる
- K(Kinesthetic):身体感覚型…実際に手を動かす演習が効果的
- T(Tactile):触覚型…手書きメモや資料に触れることで記憶が定着する
といった学習特性が示されています。つまり、動画だけでは全ての学習者に最適とは限らないのです。
テキスト・PDF・音声も「立派な教材」になる
設計次第で、あらゆるメディアが教材になる
弊社では、動画だけでなくテキスト教材やPDF、音声コンテンツも多く活用しています。ポイントは、教材の種類よりも設計です。
「学習者にどのように成長してほしいのか」という学習目標を明確にし、それに基づいて適切なメディアを組み合わせれば、テキストや過去の社内資料でも十分に効果を発揮します。
社内にある資料が宝の山になる
よく聞かれるのが、
「うちにはeラーニング用の教材がない」「新しく作れない」
という声です。しかし、社内の過去資料やマニュアルでも十分に教材化が可能です。教育工学とインストラクショナルデザインの視点で再構成すれば、既存資料を活かした効率的な学習設計ができます。
学習意欲を維持する「設計上の工夫」が必須
冒頭・途中・最後に意欲を刺激する仕掛けを
教育工学の理論では、学習者のモチベーション維持が学習成果を大きく左右するとされています。弊社では、ARCSモデル(注意・関連性・自信・満足感)などの理論を参考に、
- 冒頭で学習の意義を明確化する
- 途中で理解度を確認できる小テストやクイズを入れる
- 最後に学習の達成感を得られる仕掛けを用意する
といった工夫を取り入れています。
まとめ:大事なのは「何を学ばせたいか」を先に決めること
結局のところ、eラーニングで最も重要なのは、学習者に何を期待するのか、どのように成長してほしいのかを事前に明確にすることです。その上で、適切なメディアを選び、モチベーションを維持する仕掛けを組み込むことが、学習効果を最大化する唯一の方法です。
弊社では、教育工学とインストラクショナルデザインに基づき、動画だけに頼らない「学び続けたくなるeラーニング」を設計しています。
「効果的なeラーニングを導入したい」**とお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。