研修といえば「集合研修」をイメージする方が多いのではないでしょうか。
実際、参加者が一堂に会して学ぶ集合研修はその場の一体感が強く、“やった感”が得られるため、満足度は高くなりやすい形式です。
しかし、問題はその後です。集合研修は“その場限り”で終わってしまう傾向が強く、学んだことがどの程度現場で活かされているのかを測定することが難しいのです。
結果として、「参加して終わり」の研修になってしまうケースも少なくありません。
一方で、eラーニングは「評価と検証」を前提に設計できる仕組みがあります。
正しく構築・運用すれば、集合研修以上に研修効果を高めることが可能です。今回はその理由を整理してみましょう。
研修効果を4つの段階で捉える
① 受講者の反応(満足度)
最も簡単に得られるのは「面白かった」「役に立った」といった参加者の感想です。集合研修はここで高評価を得やすいですが、満足度の高さ=学習効果の高さとは限りません。
② 学習内容の理解・習得
知識やスキルをどの程度習得できたのかを測る段階です。集合研修では、時間や進行の都合でこの確認が不十分になりがちですが、eラーニングではテストや課題を通じて理解度を定量的に測定できます。
③ 行動変容
学んだことを職場で実践できているかを確認する段階です。集合研修は終了後のフォローが薄いため、この変化を追いにくいのが課題です。eラーニングならフォローアップ課題やアクションプランを組み込むことで行動変容を可視化できます。
④ 組織への成果
最終的には、研修が組織全体の成果にどう結びついたかを測る必要があります。集合研修ではデータが残らないため評価が困難ですが、eラーニングは学習ログや提出記録を蓄積できるため、効果測定に有利です。
eラーニングが効果検証に強い理由
- 記録が自動で残る:受講履歴や課題提出状況を自動で可視化
- 定量的な比較が可能:参加者ごとの理解度を数値で把握できる
- 継続的なフォローアップ:集合研修では難しい学習後の追跡が可能
集合研修では難しい「その後の行動変化」や「成果とのつながり」まで追えるのが、eラーニングの大きな強みです。
ただし「パッケージ型」では効果は出にくい
注意すべきは、市販のパッケージ教材をそのまま導入するだけでは、こうした効果は得られにくいという点です。
大切なのは、学習者にどのように成長してほしいのかという教育目標を設定したうえで、教材や評価設計を組み合わせること。
これによって初めて、学びが成果に結びつきます。
まとめ
集合研修は参加者の満足度が高く、一体感や学んだ手応えを感じやすいという強みがあります。
しかし、その反面で「その場限り」で終わってしまう傾向が強く、実際にどの程度知識が定着したのか、行動に結びついたのかを測定するのは難しいという課題を抱えています。
一方、eラーニングは学習の過程を記録できる仕組みが整っているため、理解度や行動変容をデータとして追跡することが可能です。
さらに、学習後のフォローアップや継続的な課題設計を組み込むことで、知識の定着から実務への応用、そして最終的な組織成果にまでつなげやすい点が大きな強みです。
ただし、その効果を最大限に発揮するためには、既製のパッケージ教材をそのまま利用するのではなく、自社の教育目標や学習者像に即した設計と運用が欠かせません。
つまり、研修効果を本当に高めたいのであれば、集合研修で得られる「やった感」に満足するのではなく、eラーニングを教育工学に基づいて丁寧に設計・活用することこそが、学習を行動や成果へと確実につなげる道筋になるのです。