eラーニングを導入しているにもかかわらず、
「学習内容が頭に入っていない」
「受講完了しても現場で活かされていない」
と感じる企業は少なくありません。
その原因の多くは、学習者のやる気ではなく、教材設計そのものの構造にあります。
特に、動画を視聴して小テストを受けるだけで学習完了とする従来型のeラーニングは、現代の学習環境において限界を迎えつつあります。
eラーニングの動画とテスト中心構成が古くなった理由
日本におけるeラーニングの本格的な普及は2000年前後から始まりました。
いわばeラーニング元年から、すでに20年以上が経過しています。
しかし現在でも、
・動画を視聴する
・理解度テストを受ける
・完了率を確認する
という構成が主流です。
このスタイルは、当時としては有効でした。
情報を効率よく配信し、集合研修の代替として機能したからです。
一方で、現在は情報そのものがインターネット上にあふれています。
知識を得るだけであれば、検索すればすぐに見つかる時代です。
そのため、単に情報を冗長な動画で提示し、小テストで確認するだけでは、学習者にとって価値を感じにくくなっています。
eラーニングに必要なのは課題中心型インストラクション(TCI)
これからのeラーニングに必要なのは、課題中心型のインストラクション(Task Centered Instruction: TCI)です。
課題中心型の目的は、知識を覚えることではありません。
現実的な文脈への知識の応用と転移です。
つまり、学習の中心に置くべきものは情報そのものではなく、実際の業務で発生する課題や問題です。
例えば、報告書の作成、企画書の立案、クレーム対応、営業提案、現場判断など、実際の仕事に即した課題を中心に据え、その課題を解決するために必要な知識をeラーニングで学ぶ構成にしていきます。
成人学習におけるeラーニングとアンドラゴジー
成人学習において重要な考え方として、アンドラゴジーがあります。
これは、大人は必要性を感じたときに初めて主体的に学ぶ、という考え方です。
興味のない動画を長時間見せられても、学習意欲は高まりません。
しかし、自分の仕事に直結した課題が提示されると、人は必要性を感じ、自ら学ぼうとします。
この点から見ても、従来の動画中心型eラーニングよりも、課題中心型の方が成人学習には適しています。
eラーニングは課題から逆算して設計する
課題中心型のeラーニングでは、まず最終課題を定義します。
例えば、最終課題が報告書の提出であれば、
報告書を書くために必要な情報整理
論理構成
データの読み取り
文章表現
を逆算して学習コンテンツを構成します。
つまり、動画や教材を先に作るのではなく、
課題から逆算してeラーニングを設計することが重要です。
Learn by Doing がこれからのeラーニングの中心になる
これからのeラーニングに必要なのは、Learn by Doing、すなわち「行うことによる学習」です。
知識を受け取るだけではなく、実際に課題に取り組みながら学ぶ。
この構造こそが、現代のeラーニングに求められる本質です。
現実世界の課題を学習の中心に据え、知識を実践の中で使いながら理解していくことで、学習効果は大きく高まります。
eラーニングにおける足場掛け(支援設計)の重要性
一方で、課題だけを提示しても学習者が迷ってしまう可能性があります。
そこで必要になるのが、足場掛け(Scaffolding)です。
インストラクターやメンターによるガイダンス、フィードバック、ヒントの提示などを通じて、学習者を段階的に支援します。
最初は手厚く支援し、徐々に支援を減らしていく。
これは、自転車の補助輪を徐々に外していくイメージに近いものです。
この支援設計があることで、学習意欲を維持しながら、最終的には自律的に課題を解決できるようになります。
これからのeラーニングは問題中心型へ
これからのeラーニングは、単に動画を掲載して小テストを行う時代ではありません。
情報化社会において、情報そのものはいつでも取得できます。
重要なのは、その情報を使って現実の課題を解決できるかどうかです。
そのため、今後主流になるのは、現実世界の問題を中心に据えた問題中心型・課題中心型のeラーニングです。
eラーニングは情報配信ツールではなく、現場の課題解決力を育てる学習基盤へと進化していく必要があります。
eラーニングの構築支援はFAST LINKにご相談ください
これからのeラーニングに求められるのは、単に情報を伝えることではなく、現実の業務課題を通じて学習者の判断力と実践力を育てることです。
動画を視聴して小テストを受けるだけの従来型の構成から、課題中心型・問題解決型へとアップデートしていくことが、これからの人材育成において重要になります。
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